松崎人形

松崎人形

松崎人形松崎人形

日本人形の技術を継承し、現代の節句文化を発信

四季の豊かな日本で育まれてきた節句の文化。桃の節句には雛人形、端午の節句には五月人形など、子どもの健やかな成長を願う人形の飾りは古くから親しまれてきた。1921年創業の松崎人形は、こうした節句人形を手がける老舗だ。現在は、三代目となる松崎光正氏の雅号である「幸一光(こういっこう)」をブランド名として、伝統の技術を活かしたさまざまな人形づくりを行っている。

節句人形は「江戸木目込(きめこみ)人形」と「江戸衣裳着人形」とに大別されるが、松崎人形は双方を手がける業界でも珍しい工房だ。「江戸木目込人形」は、型に桐の粉末を練った粘土を詰め込んで固めた胴体に溝を彫り、その溝に沿って布を押し込んでつくっていく。「江戸衣裳着人形」は頭部を同様に型取りしてつくり、ワラ製の胴体に縫製した衣装を着せ付ける。いずれも伝統的工芸品に指定されており、工房では20代から70代までの職人たちが日々技術を磨いている。

人形づくりは分業制が一般的だが、頭と胴の両方を手がけているのも松崎工房の特徴。
「人形の命ともいえるのは、やはり顔。頭を原型からつくることで個性豊かな顔が生まれます。トータルなものづくりができる強みを活かして、現代のライフスタイルに合う新たな節句の形を提案していきたい」と松崎氏はいう。人気イラストレーターとコラボした愛らしい顔の五月人形、伝統的工芸品の「江戸からかみ」を使った粋な文様の屏風、小さなスペースにも飾れる立雛など、新機軸の商品を次々と生み出している。

節句人形以外の分野の開拓にも積極的だ。ことわざを身体全体で表現する「ことわざざむらい」シリーズは、手のひらサイズの可愛らしさ。木目込みの技を駆使した「anima」シリーズは、素材にもこだわったアートピース。時代は変わっても、お気に入りの人形を飾り愛でる楽しさは不変だ。

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