「お客様の心を動かすことが最優先。」原点に戻り、江戸切子の本質を追求する事で見出した華硝の“リシンク”とは

「お客様の心を動かすことが最優先。」原点に戻り、江戸切子の本質を追求する事で見出した華硝の“リシンク”とは

用途としてだけでなく、オリジナリティ溢れる江戸切子で多くの人々を魅了してきた華硝。枠にとらわれない製作姿勢が印象的だが、現代の“あるべき姿”について、大きな心境の変化があったという。お客様との対話を大事にしてきたからこそ向き合えた、新たな気づきとは。

「お客様の心を動かすことが最優先。」原点に戻り、江戸切子の本質を追求する事で見出した華硝の“リシンク”とは

伝統的な紋様から華硝独自のこだわりの紋様までさまざまなプロダクトが揃う。

「お客様の心を動かすことが最優先。」原点に戻り、江戸切子の本質を追求する事で見出した華硝の“リシンク”とは

職人ならではの視点で語ってくれる熊倉隆行氏。

変化の中でも、ぶれてはいけない境界がある

流行の変化や情報技術の進歩が目まぐるしい現代社会。そんな中で、職人たちは長年受け継がれてきた伝統産業を、今後も繋いでいくために日々奮闘している。時代の変化に合わせながら、柔軟にアプローチすることも伝統文化を継承するためのひとつの手段に思えるが、華硝ではこう考えている。「今はSNSなどで、その人の趣味趣向に合わせて、本当に好きな人だけに、個人として発信することができる時代です。不特定多数の多くの人に届けるよりも、今必要としている誰か一人に受け止めてもらうことの方が大事だと思うようになりました」。より個人にアプローチする機会が増えたことで、新たな気づきもあったという。「生産性ばかりを追い求めるのではなく、“お客様が想像する以上のものを作りたい”という発想が生まれました。一つひとつのプロダクトに特別な気持ちが込められるようになった事で、見栄えだけを良くするのではなく、江戸切子の本質の追求できている気がします」。原点回帰、まさに作ることの楽しさを再確認することができたそう。

「お客様の心を動かすことが最優先。」原点に戻り、江戸切子の本質を追求する事で見出した華硝の“リシンク”とは

お客様とのエピソードを、笑顔を交えながら話す熊倉千砂都氏。

「お客様の心を動かすことが最優先。」原点に戻り、江戸切子の本質を追求する事で見出した華硝の“リシンク”とは

塾練の職人技が光る飾り皿は、透明感溢れる色彩と、繊細に広がるカットが魅力だ。

お客様から学び、お客様とともに作り上げている

自宅で過ごすことが多くなった今、消費者ニーズにも大きな変化があったという。「眺めていて心から綺麗と思えるものを近くに置いて、豊かな気持ちで過ごしたいという考えや、内にも外にも丁寧な生活を育みたいというお客様が増えたように思います。それによって私たちも“お客様の心に訴えかける”という部分を一番大事に考えるようになりました。今は以前よりも、お互い心の交流があるように感じます」。華硝にとってのリシンクとは、ニーズの変化にいち早く気づき、行動に移し、そして寄り添うことなのであろう。「江戸東京リシンク展」では、華硝が生み出す作品の目に見える美しさだけでなく、プロダクト一つひとつのストーリーや背景にも着目して体験してほしい。いかに現代の人々が華硝に魅了され、愛され続ける存在になっているのかを感じていただけるはずだ。


江戸東京リシンク展|江戸切子 華硝
https://edotokyorethink.metro.tokyo.lg.jp/exhibitor_3.html

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