「伝統産業の文化的な背景に焦点を当て、新たな価値観を提供できるような場にしたい。」舘鼻則孝が語る、江戸東京リシンク展オンライン開催に向けた想いとは

「伝統産業の文化的な背景に焦点を当て、新たな価値観を提供できるような場にしたい。」舘鼻則孝が語る、江戸東京リシンク展オンライン開催に向けた想いとは

現代美術家として知られる舘鼻則孝氏が展覧会ディレクションを手掛け、長年受け継がれてきた伝統文化の新たな側面や価値に焦点を当てる展覧会「江戸東京リシンク展」 。いよいよオンライン展覧会として開催される。世界中の社会環境が一変し、あらゆるものが制限される今、日本の伝統産業やアートは鑑賞者にとって一体どう映るのか。展覧会への想いや舞台裏に迫った。

「伝統産業の文化的な背景に焦点を当て、新たな価値観を提供できるような場にしたい。」舘鼻則孝が語る、江戸東京リシンク展オンライン開催に向けた想いとは

舘鼻氏が表現する新たな伝統産業の姿が今展覧会の見所だ。

展覧会ディレクター舘鼻則孝ならではの視点を体感して欲しい

今展覧会は舘鼻氏にとっても新たな試みであるが、こだわりについてこう語る。「オンラインでの開催になったからといって、意気込みや取り組むべき方向性が変わることはもちろんありません。この状況下の中でオンライン化と聞くと、一見ネガティブに捉えてしまうかもしれません。ですが、リアルな展覧会と天秤にかけるのではなく、オンラインだからこそできることを追求したつもりです。ただ単純に作品をかっこよく見せるのではなく、作り手の目線や、展覧会ディレクターとして各事業者の魅力をどう伝えるべきか、そういった視点で描くことが非常に重要だと感じました。鑑賞するお客様が、私の目を借りたつもりで展覧会のストーリーを紐解いていくことが、今回とても重要だと思いますし、だからこそ展覧会ディレクターとして、私がその役を担うことが必要なのだと考えます」。舘鼻氏の目には江戸・東京の伝統産業がどのように映し出され、どのような未来が描かれているのか。そこに触れることで、自分自身の新たな価値観に気づけるかもしれない。

「伝統産業の文化的な背景に焦点を当て、新たな価値観を提供できるような場にしたい。」舘鼻則孝が語る、江戸東京リシンク展オンライン開催に向けた想いとは

今までにない挑戦となるオンラインでの展覧会開催について意気込みを語る舘鼻氏。

「伝統産業の文化的な背景に焦点を当て、新たな価値観を提供できるような場にしたい。」舘鼻則孝が語る、江戸東京リシンク展オンライン開催に向けた想いとは

伊勢半本店の紅を使用し、作品の中で重要なテーマを持つ「雷」と「雲」のモチーフが表現された。

文化や芸術の中には過去に戦った“痕跡”があるように思う

日本の文化や芸術の背景には、当時の社会情勢と深く関わりがあることが多い。環境の変化は人々にも大きな影響を与える。まさしく今起きていることがそうだ。一見、悪い影響を及ぼしているだけのように思えるが、果たしてそうだろうか? 「今展覧会で一番に示すべき問題定義とは、江戸・東京の伝統産業を、“歴史的背景”という視点で見直すことが未来を捉えるひとつのステップだと思います」。と舘鼻氏。こうした状況下だからこそ見える、ものに対する本質や、今まで気づくことのなかった価値観に触れるきっかけにはならないだろうか。舘鼻氏の視点で語られる江戸・東京の伝統産業の文化的価値、そして新たな挑戦でもある今展覧会を見逃さないで欲しい。



江戸東京リシンク展|東京都・江戸東京きらりプロジェクト
https://edotokyorethink.metro.tokyo.lg.jp/map.html

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『展覧会ディレクターを務めた現代美術家・舘鼻則孝が「江戸東京リシンク展」を振り返る(前編)』
https://edotokyokirari.jp/column/life/rethink-20_backstage_report_zenpen/