宮本卯之助商店の和太鼓スクールHIBIKUSでしか味わえない、共感体験宮本卯之助商店の和太鼓スクールHIBIKUSでしか味わえない、共感体験

宮本卯之助商店の和太鼓スクールHIBIKUSでしか味わえない、共感体験

ドンドンドン、ドン、ドドン、ドン──体の芯にまで響く和太鼓の音。それまでの和やかな雰囲気は一変し、凜とした緊張感とともに、レッスンスタジオは心地よい振動に満たされていきます。

和太鼓の製造・販売を手がける宮本卯之助商店が運営する和太鼓スクール「HIBIKUS(ヒビカス)」。2014年、横浜に自社スタジオを構えたのを皮切りに、浅草本社の地下にある大正時代の神輿展示室(戦時中は防空壕として活用)をリノベーションした浅草ベースメント校、さらには太鼓が盛んな福岡・天神と、現在3つのスタジオがあります。

宮本卯之助商店の和太鼓スクールHIBIKUSでしか味わえない、共感体験
生徒の多くは女性。「仕事や家事のことなど全部忘れて、太鼓のことだけに集中できるのがいい」という声も。(横浜校・中級クラスにて)


各スタジオには、「宮太鼓」とも呼ばれる最も一般的な和太鼓(長胴太鼓)を学べる初級・中級・上級クラスのほか、大太鼓や締太鼓などの専門クラス、こどもクラス、また、横笛や篠笛を学べるクラスもあります(スタジオによって異なります)。講師には、プロとして長く世界で活躍してきた和太鼓奏者から歌舞伎の囃子方まで、多彩で経験豊かな面々が名を連ねていますが、多くの生徒は「やってみたい」という思いで入ってくる初心者の方だそうです。

生徒の数は現在、3スタジオあわせて500人強。その中には、開校した10年前からずっと通い続けている人も50人以上いるとか。「HIBIKUS」で和太鼓を始めて7年目で現在は中級クラスに通う女性は、和太鼓の魅力について、「みんなの音が揃ったときの一体感が気持ちいい」と語ってくれました。実際、何本もの太鼓バチが勢いよく振り下ろされる度に「ドン、ドドン」という音と振動が全身に降りかかってくる瞬間は、そばで見ている側も爽快感を覚えるほどです。

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写真左から:開校時から講師を務める政所和幸さん(手前右)。「まずは一緒に演奏する仲間を好きになってほしい。その次に、太鼓を好きになってくれたらうれしい」。こどもクラスに通う3歳の少年は、日暮里の祭りで太鼓の音色を聞いて以来すっかり夢中になり通い始めたという。


1861年の創業以来、太鼓をはじめとする和楽器のほか神輿や祭礼具など職人による手作りを続け、日本の祭りと伝統芸能を支えてきた宮本卯之助商店。一般向けの和太鼓スクールを立ち上げた背景には、「もっとお客様との接点を増やしながら、同時に、和楽器に親しむ人を増やしたい」という思いがあったと、代表取締役社長の宮本芳彦さんは説明します。

いまや和太鼓は、寺社仏閣の祭事や地域の祭り、あるいは歌舞伎や能といった伝統芸能の枠を超えて、様々なフィールドで用いられています。楽器として広く親しまれるようになっていたこともあり、HIBIKUSには開校当初からたくさんの生徒が集まりました。熱量も高く、宮本さんにとってそれは「まったく新しい世界だった」そうです。

加えて、使われることによる太鼓の変化を追えるようになったことが、その後の太鼓づくりにも生かされていると言います。宮本さんによれば、「太鼓は使われて育つ」。レッスンで使われる太鼓を継続的に観察し、「ここがぶつかりやすい」「こういう太鼓はあまり音が育たない」「こういう台は、見た目はいいが使い勝手が悪い」といった改善点を、職人たちに伝えているのです。「ユーザーに対する理解度も高まり、ものづくりにもいい影響が出ている」と宮本さん。

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株式会社宮本卯之助商店代表取締役社長の宮本芳彦さん。HIBIKUSのほか、英語でオンライン太鼓レッスンを提供するkaDON(カドン)や、日本の伝統工芸を伝えるお土産ブランドうのみせ(右写真の西浅草店で展開)など、新たな取り組みを次々と打ち出している。


和太鼓は、みんなで演奏を合わせる共感体験そのものだと宮本さんは話します。同時に、和太鼓は楽器でありながら、耳よりも体で振動を感じ取る「体感楽器」という側面を持ち合わせています。文字どおり「音を全身で浴びる」という感覚は、言語の壁を超え、なおかつ視覚や聴覚にも左右されないため、様々な人がよりハードル低く交わることができ、そこにコミュニティとしてのつながりが生まれるというのです。

HIBIKUSが、趣味や習い事として自分を磨く場所であるだけでなく、多様な人々とともに太鼓という楽器を通してひとつになれる場所となっていることが、ここに通う多くの人が楽しみながら長く学び続けられている秘密なのかもしれません。2025年から新たなチャレンジをしてみたいと考えているなら、和太鼓、始めてみませんか?