業界のしがらみを超え、新たな価値を共有する

業界のしがらみを超え、新たな価値を共有する

飲むものや食べるものに合わせて日本酒もグラスを変えよう、と様々なタイプのグラスをそろえたのが木本硝子の「サケグラスセレクション」。三代目である木本誠一さんに話を伺った。

ワインやビールは種類によってグラスを変えるのに、日本酒はなぜおちょこか味気ないグラスだけなのか。そこに疑問を持った木本さんは、日本酒の世界を変えるための3つの仮説を立てたという。

業界のしがらみを超え、新たな価値を共有する

1つめは、お酒の味と香りを引き出すためにグラスの形状やサイズなどを吟味すること。2つめは食前、食中、食後での、料理とのコンビネーションを意識すること。最後に、若い女性をターゲットに「日本酒と日本食はこんなに美味しい!」「こんなにお洒落!」と思ってもらえるものにすること。

この仮説をもとに日本中の酒蔵を30カ所ほど訪ね、130種類のグラスを作って検証したそうだ。「香りをかいだり、唇に触れたり、五感で感じられることはさまざまです。私たちと付き合いのある職人たちは、その細やかな感覚の違いに応じて、1.0〜1.1mmという薄さのグラスを作ることができます。人はコンマ数ミリ単位の違いでも、しっかりと感じることができるので、お酒の味わいの違いもわかるんです」と木本さん。

業界のしがらみを超え、新たな価値を共有する

「日本酒と飲食店、食器はそれぞれ異なる業界で動いている。行政もお酒は国税庁、食べ物は農林水産省、食器は経済産業省と担当が異なります。でもそれは、お客様にとっては関係のないこと。木本硝子というプロデューサーの存在によって、酒蔵も飲食店も、お客様も喜んでくださる。さらには職人も守ることができる。そんな“三方よし”の循環を作り出していきたいですね」

ラグビーのようにONE TEAMを作り、「価値観の共有」のできるメンバーで展開していくことが重要だと語る木本さん。木本硝子の挑戦は、さまざまな領域を超えていく。