遊び心と真面目さが同居する 日常使いのアートとして。

遊び心と真面目さが同居する 日常使いのアートとして。

高い透明度を放つ江戸切子を使ってもらえる場をさらに拡げたい

高い技術力で世界に評価されている江戸切子の「華硝」。二代目・熊倉隆一さんの長女で取締役の熊倉千砂都さんにお話しを伺った。

「実は一緒に仕事をしている弟も私も、最初は他の道を志していました。弟が若い頃、父の仕事に同行してイギリスへ行ったとき、『なぜ日本文化に関わる素晴らしい仕事を継ぐつもりがなかったのですか? 誰にでもできる仕事ではないですよ』と言われたそうです。職人の技をリスペクトする海外の方から、そうした視点を教わることも多いです。日本で『商品』と呼んでいるものを、海外では『アート』と呼ぶ。飾りとして眺めたり、毎日手に取ったりするたびに日本や東京を思い出す。そんな身近なアートとして高い価値があると評価していただいています」

遊び心と真面目さが同居する 日常使いのアートとして。

華硝の江戸切子には「繊細さ」「やさしさ」「柔らかさ」が備わっているが、透明度の高さも海外で評価される理由のひとつだ。

「磨きの技術にもよるのですが、落ち着いた透明感があると言っていただけるのは、シャープなイメージが強い海外のカットガラスとの違いのせいかもしれません。ある外国の方から、江戸切子は『日本人らしく、遊び心があるけれど真面目』と言われ、的を射ていると思いました。『使う』という視点を大切にして、使わないと見えないグラスの底まできちんと作り込んでいるところなど、確かに日本人らしいのかもしれませんね」

最近では、企業が海外へのお土産として江戸切子を選ぶことも増えているそうだ。今後は、外国人観光客に対してアピールするだけではなく、ビジネスでの利用も大切にしていきながら、江戸切子を使ってもらえる場を拡大していきたいという。

遊び心と真面目さが同居する 日常使いのアートとして。