江戸・東京の粋を現代に伝える、モダンな立ち飲み居酒屋が神田のオフィス街に誕生。

江戸・東京の粋を現代に伝える、モダンな立ち飲み居酒屋が神田のオフィス街に誕生。

東京最古の酒舗として知られる豊島屋本店は、1596年(慶長元年)に江戸の中心部である神田鎌倉河岸に酒屋兼居酒屋として創業。居酒屋のルーツとも言われる。初代豊島屋十右衛門が売り出した白酒はすぐに江戸中の評判となり、「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」と詠われるほどの大ヒット商品となった。江戸時代の古文書『江戸名所図会』にも、店の周りに黒山の人だかりができている様子が描かれているほど、江戸の名所として長く愛されていた豊島屋だが、大正の関東大震災で店が倒壊、昭和の東京大空襲で全焼するなど度重なる悲運に見舞われ、その後は長らく飲食店の経営を休止して酒などの販売のみに力を入れてきた。豊島屋本店の酒蔵(豊島屋酒造)が東村山市で醸造する日本酒「金婚」は、明治神宮や神田明神のお神酒にも使われており、いまも江戸・東京の地酒を代表する存在として広く愛されている。

そんな豊島屋本店が、創業の地にほど近い神田錦町の新しいオフィスビルKANDA SQUARE1階で、「江戸東京モダン」をコンセプトにした立ち飲み居酒屋「豊島屋酒店」を7月にオープンした。

江戸・東京の粋を現代に伝える、モダンな立ち飲み居酒屋が神田のオフィス街に誕生。

「江戸当時のような大店とまではいきませんが、まずは小さなコンセプトショップからスタートして、東京の地酒はもちろんのこと、江戸から受け継がれてきたさまざまな文化を国内外に発信する、プラットフォームのような存在になれればと思っています」と語るのは、飲食店という創業時の商いをなんとか現代に再興させようと、これまで10年以上尽力してきた豊島屋本店の吉村俊之社長だ。

明るくカジュアルな雰囲気の店内では、日本酒や「豆腐田楽」などの一品料理が提供されるのはもちろんのこと、お酒以外にも食材や栄養バランスにこだわったランチボックスを始め、ノンアルコールの甘酒スムージーやスイーツなど、平日のランチタイムやカフェタイムから楽しめるメニューも豊富に揃う。また、江戸東京きらりプロジェクトのモデル事業者商品の販売も行っている。長居をしないで気軽に楽しむ江戸の粋なスタイルが、現代のモダンな神田のオフィス街にも違和感なく溶け込んでいる。

江戸・東京の粋を現代に伝える、モダンな立ち飲み居酒屋が神田のオフィス街に誕生。