おいしさを届けるためには変革も手間も厭わない。

おいしさを届けるためには変革も手間も厭わない。

江戸時代に日本橋に榮太樓總本鋪を構え、榮太樓飴を生み出した三代目・細田安兵衛(幼名:栄太郎)。彼の誕生日である10月3日は、創業200周年を迎えた2018年に「榮太樓飴の日」として記念日登録された。この日は田に張られた水を抜き、稲刈りの準備を始める七十二候の「水始涸(みずはじめてかる)」の初日でもあり、自然由来の原料にこだわる同社の記念日にはふさわしい。

和菓子は油脂や余分な添加物を使わず、日本に昔からある米や小豆といった作物を使う。素材が味を大きく左右するだけに、榮太樓の原料のこだわりもひとしおだ。榮太樓飴の主原料は砂糖と水飴。水飴は国産の薩摩芋で作った特注品。あんこが命のきんつばには、北海道の希少な「えりも小豆」を使う。2015年からは大福に使われるもち米も刷新。無化学農薬、有機肥料栽培にこだわる千葉県の「おかげさま農場」が生産する「マンゲツモチ」に切り替えた。マンゲツモチは伊勢神宮にも奉納される伝統ある品種で、江戸っ子に愛される歯切れの良い大福を作ることができる。硬さや弾力を調整するのに苦労するというが、杵つきの手間暇は惜しまない。

2019年の榮太樓飴の日には、30年以上地元に愛されてきた玉川高島屋の店舗をリニューアルオープン。店内に新たに厨房を設け、銅板や団子焼き機を導入することで、自慢のきんつばや団子、大福を出来立ての状態で味わえるようになる。初代榮太樓から受け継がれた伝統のある和菓子をよりおいしく届けるためには、変革も手間も厭わない――。栄太郎の誕生から201年経った今も、榮太樓總本鋪の味の追求に終わりはない。