浴衣の生地を使った、エシカルなワークショップ

浴衣の生地を使った、エシカルなワークショップ

「記念すべきアニバーサリーイヤーに、何か新しいことをしたい。そうした思いから生まれたのが、手づくりの楽しさを伝えるワークショップです」
こう語るのは、竺仙の常務取締役小川茂之さん。江戸の粋を表現した美しい柄の浴衣で知られる竺仙は、2022年に創業180周年を迎えた。昨年の2021年に創業100周年を迎えたのが、国産初のミシンメーカーであるジャノメ(旧・蛇の目ミシン工業)。両社の技術を活用してコラボレーションをしたいという小川さんのアプローチにより、ジャノメミシンを使った手づくりワークショップが昨秋、東京・大阪・新潟の3箇所で開催された。

「大量生産・大量消費の時代に、“良いものを永く”大切に使い継ぐ価値を提案したいと思いました」と小川さんが語るように、ワークショップでは浴衣の生産の過程で生まれた規格外の生地を提供。参加者は、レトロなデザインが美しいジャノメ創業100周年記念ミシン「エポルク」を使い、口金バッグか3WAYクラッチバッグのいずれかを選んで制作した。竺仙では生地の切り売りをしていないめ、小物を自分でつくることができるのが新鮮だと、キャンセル待ちの会場がでるほどだったという。

浴衣の生地を使った、エシカルなワークショップ

好評につき、ワークショップは東京・大阪・札幌の会場で今夏も開催。お客様がより日常的に使えるものにしたいと、ひとつはリモートワークの普及で需要が高まるPCバッグとした。もうひとつはTシャツ。もともと身にまとうための生地を浴衣以外に活用する試みで、男女兼用のオーバーサイズと、子ども用サイズの型紙を用意した。10数種類の反物から好みの柄を選べることも喜ばれ、完成したその場でTシャツを着たり、バッグを持ったりする参加者も多数。今回も手づくりの楽しさが存分に味わえる催しとなった。
「ワークショップでお客様と直に接することで、竺仙の生地が現代の日常に受け入れられていることが実感できました。今後も伝統を大切にしつつ、時代のニーズに即したものをつくっていきたいと思います」

浴衣の生地を使った、エシカルなワークショップ
浴衣の生地を使った、エシカルなワークショップ