森製綿所

森製綿所

森製綿所森製綿所

時代を超えて愛される、ふっくらした綿の心地よさ。

吸湿性の高い木綿わたを使った綿布団は、湿気の多い日本で昔から親しまれてきた寝具。保温性にも優れているため、冬は暖かく夏は蒸れにくいことに加え、打ち直すことで長く愛用できるのも特徴だ。綿の品質に徹底的にこだわり、輸入した原綿を自社工場で製綿するほか、布団や座布団などの綿製品を仕立てているのが、1917年創業の森製綿所。オーダーメイドにも柔軟に対応できる手作業でのものづくりが強みだ。国内の名だたる旅館や料亭、寺社、演芸場などからの引き合いも多い。

現在、多くの綿は衣類に適した細く長い繊維の品種へと改良されているが、コシのあるふっくらした布団をつくるには、極太で弾力があり、短めの繊維の綿が適している。森製綿所では、そうした特徴をもつデシ綿というアジア在来種の上質な原綿を、主にインドから輸入している。

工場での製綿は、まず原綿を混打綿機という機械に投入。叩きながら解きほぐすとともに、葉や種子片などのゴミを取り除く。次は、繊維の方向を整えてシート状にするカーディングという工程。カード機に送られた綿は、針と刃がついたローラーで整えられてから幾重にも重ねられ、「玉綿」と呼ばれるふわふわの綿シートになる。カード機は既に廃番となっているため、森製綿所では修理しながら40年以上にわたり同じ機械を大切に使い続け、質の高い玉綿を全国の小売店に届けている。

職人による手づくりの布団や座布団などは、個人客にも好評だ。座布団の場合、シート状の綿を重ねて袋状の生地に入れ込み、四隅にも綿を入れてピンと角を出す。さらに生地の口を縫い合わせて中心を十字に綴じ、四隅に房を縫い付けたら完成。綿が均一に入りふっくらした仕上がりは、長年の経験のなせる技だ。

植物素材のみでつくられていることから、近年は欧米を中心としたヴィーガンの人々からの需要も高い。綿のトレーサビリティにも注目が集まる昨今、オーガニックテキスタイルの世界基準GOTS認証を取得するなど、安心して使える綿製品づくりへの取り組みも、国内外からの信頼に大きく寄与している。

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