金唐紙研究所金唐紙研究所

金唐紙研究所

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「金唐革紙」は、江戸時代にヨーロッパから渡ってきた「金唐革」と呼ばれる装飾革を見た日本人が、和紙を使って模したことで生まれた。

明治期以降、海外に輸出されるほどの人気を博したが、次第に需要は減少し、昭和中頃には、製造技術も途絶えてしまったという。

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その幻となってしまった技術の復元に尽力したのが、1985年に金唐紙研究所を設立した、国選定保存技術保持者の上田尚氏だ。

上田氏は、「旧岩崎邸庭園」や「旧日本郵船株式会社小樽支店」など、数多くの重要文化財の修復工事に携わると同時に、金唐革紙を用いた屏風などの作品制作にも取り組んでいる。

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本展では、特別協力という形で参画した金唐紙研究所が、旧岩崎邸庭園洋館2階客室の壁紙を再制作し、現代美術家の舘鼻則孝氏がそれを用いてヒールレスシューズを制作することになった。

作品の上部には普段から舘鼻氏が使用しているエンボスのレザー、下側に金唐革紙を使用している。

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ヨーロッパからもたらされた金唐革の要素を汲み取ったエンボスレザーの表情と、和紙を用いた金唐革紙の表情のコントラストによって、作品が内包する歴史の厚みを感じ取ることができる。

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旧岩崎邸庭園の壁紙
洋館2階客室の壁面に施された金唐革紙。2003年、上田尚氏によって復元された。旧岩崎邸庭園と同じく、コンドル設計の鹿鳴館にも同様の壁紙が使用されていたという。

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打刷毛
型打ち時に使用する刷毛。版木棒に箔を貼った原紙を置き、当て布を当てて刷毛で叩くことで、模様を写し取っていく。

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刷毛
合紙づくりの際に糊を塗る、ワニスを塗る、ワニス塗後に着色する――。金唐革紙製作時には実に多くの刷毛を必要とする。

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版木ロール
2003年、旧岩崎邸庭園の洋館修理工事に際し、金唐革紙復元のために使用されたもの。

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田園風景
現存する版木棒を使用した作品。葡萄(ぶどう)、柘榴(ざくろ)、洋梨といった果実・花だけでなく、随所に羽を広げた鳥が描かれている。

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金唐紙研究所(きんからかみけんきゅうじょ)
江戸時代にヨーロッパから渡ってきた、金唐革と呼ばれる装飾革を和紙を用いて日本国内で模作することから始まった金唐紙の復元に従事する研究所。重要文化財「旧岩崎家住宅洋館」や、重要文化財「旧日本郵船小樽支店」などの修復工事に携わっている。

Photo by GION


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