道行く人を木版画アートの世界へ誘う「道のギャラリー」とは
2020.06.30
LIFE江戸川橋駅から徒歩7~8分。神田川を渡って通りをぶらりと流せば、のどかな日常の光景が広がる。近所の子供たちやサラリーマンが通りを行き交い、立ち並ぶマンションの間には蕎麦屋や鰻屋がぽつりぽつり。そんななかに「道のギャラリー」がある。倉庫の北向きの壁面を利用した、ショーウィンドウ型の美術スペースだ。主催は江戸木版画の「高橋工房」6代目の高橋由貴子氏。
「うちの工房は路地裏にありますので、初めていらっしゃる方にはわかりにくいんですね。そこで、ご用のある方にとっては目印になり、通りかかった方にはちょっとしたお楽しみを、という気持ちで開きました」
江戸時代の浮世絵や障害をもつ人のアート作品が、2週間に1度のペースで展示替えされながら並ぶ。しかも、夏が近づけば隅田川の花火、秋になれば紅葉の景色といった具合に、季節を感じさせる画題も魅力的だ。
道の駅に立ち寄るように、気軽にアートを楽しめるスポット。通りを抜けていく人々も、ここでは自然と歩みがゆるむ。
「そもそも浮世絵は、江戸時代には情報誌のような役割を果たしていました。現代においては、絵画や工芸の名品は美術館にあるのが一般的かもしれませんが、江戸木版画のように、日々の生活の中で構えずに美しいものを触れていただけたら」と高橋氏。
もしも気に入った作品があれば購入可能。又、道のギャラリーの裏手にある工房には常に江戸木版画が展示されており、併設のショップにはオリジナル江戸小物が並んでいる。気軽に工房の木戸をくぐってみよう。さらなる豊かな世界がその先に広がっているだろう。