【江戸東京リシンク展】小町紅 伊勢半本店「古きよきものの新たな魅力」
2022.03.11
LIFE2021年の『江戸東京リシンク展』で実現した最後の紅屋「伊勢半本店」と現代美術家・舘鼻則孝氏とのコラボレーション。その結果生まれた玉虫色に光るヒールレスシューズは、見る人を驚かせ、魅了しただけでなく、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館への所蔵も決まったという。
展覧会参加への意義を伊勢半本店の島田美季氏は次のように語る。
「これまでアプローチできなかったお客様、とくにアートに興味をお持ちの方々に紅の魅力をお届けできたことを大変うれしく思っています。また、江戸東京きらりプロジェクトがきっかけとなり、東京くみひも 龍工房さんと一緒にイベントを開催できたことで、私たちとしても新たな発見がありました」
昨年開催した「『組紐体験講座』~紅染めの絹糸を組み上げる~」では、小学生からご年配の方までが一緒になって、紅花で染めた絹糸を使った組紐ミサンガづくりに挑戦。
龍工房が講座のために用意した絹糸には、紅色のみならず、小町紅の製造では使われない黄色色素が用いられており、島田氏は、なんとも言えない光沢のある紅色と黄金色の糸が参加者の手によって組みあがっていく様子に感動を覚えたという。
「紅という素材は扱い方次第でさまざまな見せ方ができることを、私たちも改めて認識することができました。今年の『江戸東京リシンク展』では、舘鼻さん、江戸木版画 高橋工房さん、龍工房さんとのコラボレーションを予定しています。私たちが代々守ってきた『古きよきもの』としての紅の新しい魅力を、みなさまに感じていただけるのを楽しみにしています」
新しい魅力という点でいえば、紅とSDGsとの関係性も忘れてはいけない。伊勢半本店の紅の原料は、農家の方々が最小限の農薬しか使わずに手間暇をかけて育て上げた紅花。秘伝の技によって完成する紅に含まれるのは「紅花の赤色色素」のみであり、究極のSDGsともいえるものづくりを、197年前から実践しているのだ。
江戸時代からたくさんの女性の唇、頰、目元を彩ってきた紅の現代的な意味を、3月に開催される『江戸東京リシンク展』でも感じてほしい。
Photo by GION
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、十分な感染対策を講じて取材を行なっております。
オンライン開催概要
【展覧会名】 江戸東京リシンク展 -旧岩崎邸庭園で見るアートが紡ぐ伝統産業の未来-
【開催期間】 2022年3月24日(木) 14:00 〜 3月31日(木)
※オンライン開催期間終了後もアーカイブとして同URLにて閲覧可能です。
【主 催】 東京都・江戸東京きらりプロジェクト
【共 催】 公益財団法人東京都公園協会
【参加事業者】
小町紅 伊勢半本店、江戸木版画 高橋工房、江戸切子 華硝、江戸木目込人形 松崎人形、和太鼓 宮本卯之助商店、木目金 杢目金屋、東京くみひも 龍工房、金唐紙研究所(特別協力)