アスリートから職人の世界へ どちらの世界でも頂点を目指す。
2020.03.02
FASHION廣瀬染工場の四代目である廣瀬雄一さんは、大学時代、ウィンドサーフィンの世界でオリンピックの強化選手として活躍していた。家業を継ぐことになった当時、もう少し競技を続けたい思いがあったという廣瀬さんだが、職人となってもアスリート時代と変わらず意識をしてきたことがあるそうだ。
「ウィンドサーフィンをしていた時、いつも1番になりたいという想いで練習していました。職人としても1番になれないのならば、やらない。やるからには、その世界で頂点を目指します」
江戸の伝統と文化を継承しながら、新たな商品展開や、異業デザイナーとのコラボレーションを意欲的に行うなど、江戸小紋の世界をリードする存在となっている廣瀬染工場。常に最高のパフォーマンスを安定して発揮するために大事なことは「環境づくり」だという。
「スポーツも職人も長くやっていくにはやはり節制が大切です。毎日安定して仕事をすることがとても大事で、忙しいからといって遅い時間までやっても、良いものはできません。作品が売れる売れないに一喜一憂して、精神や、目的が少しでも揺らいでいる人は、作品を見た時すぐに分かります。もちろん売れることも大切ですが、それが目的になってしまうと、おかしなことになってしまいます。環境を整え、技を突き詰めていくのが、本来の工芸の姿だと考えています」
頂点を目指し、いつもと同じように環境を整えて、廣瀬さんは今日も工房に立つ。