道明

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古代から受け継がれる、組紐の“粋”を現代に継承

織る、編む、組む。糸と糸を組み合わせて加工する代表的な3つの技術の中で、束ねた糸を交差させ組み上げることでつくられるのが組紐だ。西暦600年頃に大陸から伝わって以来、日本では宮廷装束や刀の下緒、着物の帯締など、さまざまな用途に使われ独自の進化を遂げてきた。江戸時代には、“粋”の文化と相まって多様な文様や技法を創出。そんな組紐を取り扱う糸商として、承応元年(1652年)に上野で創業したのが道明だ。組紐づくりに携わる職人たちを抱える傍ら、武士たちの協力のもと、組紐の歴史や技術の研究にも注力してきた。明治以降は、近代化とともにほとんどの組紐が機械生産に置き換わっていったが、道明は現代に至るまで職人による手仕事を守り続けている。

そのこだわりは、最初の工程である糸染から。職人が絹糸を一色一色染め上げ、微妙な色相や彩度の違いが織りなす無数の色を自由に組み合わせることで、さまざまな文様の組紐をつくり出すことが可能になる。さらに、染められた糸を組台に掛け、手作業で組んでいくことで、機械生産の組紐にはない伸縮性や風合いが生まれる。力のかけ方の強弱や微妙な手加減を知り尽くしている、熟練した職人技の賜物だ。

こうして伝統の技術を継承する一方、時代に沿った新商品を開発するため、2015年に洋装小物のブランド「DOMYO」を立ち上げた。若い世代や海外に向けても組紐の魅力を発信したいという思いから、ネクタイやアクセサリー、ベルトなど、ふだん使いしやすいアイテムを展開している。神楽坂にあるDOMYO直営ショップでは、ブレスレットやネックストラップなどの組紐製作体験ができるワークショップも開催。1日のみの体験からカリキュラムに沿った教室まで、実際の組紐づくりに使う道具と絹糸を用いた本格的なコースを提供し、組紐の魅力を体感してもらう取り組みを進めている。

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