【若き担い手たち】セイコーの匠の技と誇りの継承に、若手デザイナーが臨む【若き担い手たち】セイコーの匠の技と誇りの継承に、若手デザイナーが臨む

【若き担い手たち】セイコーの匠の技と誇りの継承に、若手デザイナーが臨む

セイコーは懐中時計が主流だった日本で1913年に国産初の腕時計を製造して以来、数多くの世界初の技術や、時計の高精度化をけん引してきたメーカーです。近年、琺瑯(ほうろう)や有田焼など、日本の伝統工芸に光を当てた「プレザージュ クラフツマンシップモデル」が海外でも高い支持を得ています。入社時から同ブランドに携わることを目標としてきたという、デザインチームの一人であるデザイナー・廣瀬由羽さんに、“伝統工芸を腕時計で表現する”ことへの想いをうかがいました。



「クラフツマンシップモデル」は、琺瑯や有田焼、漆、七宝といった日本の伝統工芸の技法をダイヤル(文字盤)に採用し、匠の技によって日本の美意識を表現したモデルです。このプレザージュを手にして初めて「琺瑯を知った」「有田焼を手にした」人もいるそうです。また、日本の伝統技術に改めて光を当て、新たな価値を与えるきっかけとなっているブランドでもあります。

【若き担い手たち】セイコーの匠の技と誇りの継承に、若手デザイナーが臨む
艶やかな光沢と温かみのある質感を持ち、色褪せない美しさを保ち続ける琺瑯ダイヤルが魅力。「セイコー創業145周年記念 セイコー プレザージュ クラシックシリーズ クラフツマンシップ 琺瑯ダイヤル 限定モデル」世界限定:1,450本(うち国内:400本)、¥264,000


廣瀬さんは、「使う人のことまで考えてモノをデザインする仕事がある」と知ったことがきっかけで、大学ではプロダクトデザインを専攻したそうです。その後セイコーウオッチに入社して3年。一昨年から、ついに念願の「クラフツマンシップモデル」を担当しています。「国内はもちろん、海外の方に日本の匠の技が腕時計を通して伝わるのは、すごくうれしいです。伝統工芸を継承してきた地域の活性化にも寄与するという自覚をもって仕事をしています」。

廣瀬さんが最初に携わった商品が「セイコー創業145周年記念 セイコー プレザージュ クラシックシリーズ クラフツマンシップ 琺瑯ダイヤル 限定モデル」。セイコー創成期の懐中時計が着想源でした。

「腕時計の多くは金属ダイヤルですが、今回は琺瑯ダイヤル。艶やかで光沢のある質感が魅力の“琺瑯の白”をどう生かすかを重視しました。名匠と呼ばれる職人の方々が苦労して作ってくださった琺瑯ダイヤルなので、いかに魅力ある腕時計として表現するかを大切にしました」。

【若き担い手たち】セイコーの匠の技と誇りの継承に、若手デザイナーが臨む
ダイヤル上のインデックス(時刻を読み取るための目盛・数字)などをデザインする際は、お客様が直感的に心地よいと感じてもらえるようなバランスを目指し、試作や調整を重ねていくそうです。


現在、「クラフツマンシップモデル」には廣瀬さんを含む3名のデザイナーが携わっています。オフィスでは隣の席で仕事をする先輩、富田朋子さんのアドバイスを仰ぎながら、デザインを進めることもしばしば。「富田さんや先輩方が長年築かれてきた知見や経験があるからこそ、現在のモデルは生まれました。試作がうまくいかなかった時など、富田さんの過去のサンプルを掘り起こして参考にすることもあります」。

【若き担い手たち】セイコーの匠の技と誇りの継承に、若手デザイナーが臨む
「クラフツマンシップモデル」をはじめ30年以上にわたりデザインを手掛けてきた先輩デザイナーの富田朋子さん(右)と、新作のダイヤルデザインを確認する廣瀬さん(左)。


そんな廣瀬さんですが、社内で積極的にプレゼンテーションを行うことにも注力しています。「自分や職人さんのこだわりポイントやデザインへの想いなどをしっかりと他部署の方にも伝えるよう努めています。その言葉が共感を生み、広報活動や宣伝販促表現につながっていくことも実感しています。作り手としてはものづくりだけでなく伝える力も必要です」。

セイコーウオッチでは、会社として先人たちが培ってきた商品に対する考え方やデザインの継承を重視しており、人材育成においても大切にしています。また、廣瀬さん自身も、デザイナー志望の学生向けの企業説明会に参加し、「伝統工芸が腕時計という形の中で継承されていること」を伝えるようにしているそうです。

そのような場から、次の「クラフツマンシップモデル」の担い手となり、世界へ日本の伝統工芸を伝える人材が誕生するのかもしれません。

【若き担い手たち】セイコーの匠の技と誇りの継承に、若手デザイナーが臨む
創業の地・銀座から世界へセイコーブランドを発信する「セイコードリームスクエア」。3階ではプレザージュを取り扱っており、廣瀬さんがデザインに携わる「セイコー創業145周年記念 セイコー プレザージュ クラシックシリーズ クラフツマンシップ 琺瑯ダイヤル 限定モデル」(画像中央)も展示されています。


「クラフツマンシップモデル」は、伝統文化や工芸に関心の高いヨーロッパ圏の高級腕時計ファンからの注目が集まっているそうです。日本の伝統工芸の美意識を取り入れたブランドとして、スイスの高級腕時計などとはひと味違う、新たな存在感を確立し始めています。

「今後は、琺瑯や有田焼、漆、七宝の素晴らしさをより伝えられるようなアイデアを出し、腕時計だからこそ表現できる魅力的なデザインに向き合っていきます。世界の方々にも日本の伝統美を感じながら、腕にまとっていただきたいですね」。



■セイコードリームスクエア
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座4-4-10
電話番号:03-3538-1900




【若き担い手たち】は、東京に代々受け継がれてきた匠の技術やノウハウを未来に繋ぐ若き職人やスタッフに焦点を当て、彼らがこの道を選んだきっかけから日々の仕事内容、そして将来への展望を深掘りしていきます。