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【後編】東京都江戸東京きらりプロジェクト・英国ヴィクトリア&アルバート博物館共催 アートイベント「Masterclass : Tokyo Crafts」を開催
2022.12.22
LIFEアートイベント「Masterclass: Tokyo Crafts」~ワークショップ~
江戸東京きらりプロジェクトの推進委員を務めている現代美術家の舘鼻則孝です。
この度、東京都と英国ヴィクトリア&アルバート博物館(以下「V&A」という。)の共催で開催し、私がプロデュースしたアートイベント「Masterclass: Tokyo Crafts」が10月29日にロンドンで開催されました。その舞台となったV&Aと、江戸東京きらりプロジェクトによる取り組みについて、3回にわたってご紹介したいと思います。
アートイベント「Masterclass: Tokyo Crafts」は、レクチャーとワークショップの二部構成として、参加者の方々には1日を通して、「江戸東京きらりプロジェクト」の「東京の宝物」の魅力・「モデル事業者」の伝統ある匠の技を体験していただきました。
第3回のレポートでは、私の行なった「デモンストレーション」と、モデル事業者による「ワークショップ」についてご紹介したいと思います。
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デモンストレーション
「現代美術家 舘鼻則孝によるヒールレスシューズの紅染め実演」
伊勢半本店の「生紅」(なまべに)と呼ばれる紅花から生成された染料を用いた、紅染めのデモンストレーションを実施。革に染め付けられた赤い染料が定着すると同時に玉虫色に発色する瞬間をご覧いただきました。
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染めた瞬間から色味の変化が始まる様子を目の当たりにした参加者からは感嘆の声が上がりました。
写真にあるようにガラスビーカーに入っている染料の状態では赤く見えますが、染め上げられた靴は既に色の変化が進み玉虫色に輝いています。
ワークショップ
小町紅 伊勢半本店による玉虫色に発色する紅の筆書きお守り制作
冒頭、伊勢半本店の島田美季さんが、特別な製法による紅づくりの工程、さらには「誕生」「七五三」「結婚」といった「通過儀礼」で用いられてきた「赤色」のもつ意味などをレクチャーしたあと、早速ワークショップが開始。
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参加者は、黒い紙に、伊勢半本店の玉虫色に発色する紅でご自身のお名前などを筆書きして、紙に包むことで「お守り」を完成させるワークショップに挑戦。
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「赤色が玉虫色に変化する様子を、言葉でお伝えするだけでなく、実際に体験していただくことで、より深くご理解いただけたと思っています。この不思議な『紅』という存在を200年近く守り続けている伊勢半本店、そして江戸東京の伝統産業、匠の技に、少しでも興味を持っていただけたならとてもうれしく思います」(島田さん)
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「日本のことに興味をもって参加された方が多く、ご自身のお名前をカタカナで書くために、スマートフォンで検索している方もいらっしゃいました」(島田さん)
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「今現在、V&Aでは、特別展示『魅惑的な紅:日本のファッションに見られる紅の世界』を開催していただいております。伊勢半本店は3年後には創業200年を迎えることもあり、私たちとしてもより一層、日本の伝統、東京の技を世界に発信していきたいと考えています」(島田さん)
ワークショップ
東京くみひも 龍工房による丸台を用いた組紐制作と指で組む組紐制作
組紐の原点ともいえる「指で組む組紐」(指組紐)を体験していただきました。両手の指に掛けた紐を正確に交差させることで、組紐が組み上がると同時に文様が現れます。江戸東京の組紐の特徴でもある丸台を用いた組紐制作では、職人の指導のもと緻密な作業に黙々と取り組んでいる参加者の姿がとても印象的でした。
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レクチャーとワークショップを担当した龍工房の福田隆太さんは、「V&Aの日本コーナーでは、組紐が使用されている甲冑が展示されていたり、イギリスでも人気のアニメ映画にも組紐が登場することから、組紐の存在自体はご存じの方が多かったですね。レクチャーでは、組紐とロープの違い、江戸の粋にも通じる裏表の表現についてもしっかりと説明するように心がけました」と振り返っていました。
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「丸台を使った制作は未経験の方には難しい作業ではありますが、なかには自分で組み方をアレンジして、オリジナルの組紐をつくっている参加者もいらっしゃいました」(福田さん)
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「世界の美術館、博物館には壮大な芸術作品も多く展示されていますが、日本の伝統産業、工芸はどちらかといえば、手仕事、細かな手作業によるものが多いため、その繊細さ、温かみを伝えたいという思いをもって、ワークショップに臨みました」(福田さん)
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「さまざまな文様を表現できるだけでなく、素材すらも変えることができるのが組紐の特徴の1つです。これからも、その無限の可能性を世界に伝えていきたいと思っています」(福田さん)
ワークショップ
江戸木版画 高橋工房による木版画制作
葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」や、縁起がよいとされ、魔除けの意味をもつ「金魚」を摺るワークショップを実施。バレンで摺り上げた木版画を版木から離した瞬間には、驚きの歓声が上がりました。
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「工芸品には、日常生活で使用するものという意味もありますから、完成した木版画を貼って使えるように竹製の団扇の骨を持参しました。来年の夏はぜひ、団扇で涼をとってくださいねとお伝えしました」(高橋工房・高橋由貴子さん)
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「ワークショップでは、小さな色、あるいは薄い色からスタートすることを常としています。最後に濃い浪の色を摺って、全体像が見えたときの参加者の満足そうなお顔を拝見できて、私もとてもうれしい気持ちになりました」(高橋さん)
「近年は、浮世絵だけでなく、ゲームのキャラクターを版画にしたいというご依頼も増えてきました。江戸木版画には、当時の流行を反映した『情報誌』の役割もありましたから、令和の時代の旬を形にすることにも挑戦していきたいと思っています」(高橋さん)
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江戸東京きらりプロジェクトの紹介展示
江戸東京きらりプロジェクトのモデル事業者は、「衣・食・住」の各分野から選りすぐられています。そのモデル事業者の代表的な産品もロンドンに持参し、展示しました。アートイベントに参加した方々からは、「どこで購入できるのか」といった声もいただき、今後の海外展開へのきっかけとなるような関心の高さを感じることができました。
Photo by GION
©︎Edo Tokyo Kirari Project and Victoria and Albert Museum, London