【華硝】本格的な江戸切子を作れるスクール 和の紋様を刻みながら感性を磨いて
2023.09.26
LIFE江戸切子とは、紅色や藍色の色硝子を被せた硝子の表面に、繊細な和の紋様を刻み込んだ伝統工芸品。江戸時代後期、ビードロ屋を営む加賀久兵衛らが、南蛮人により持ち込まれたガラス製品に、彫刻で模様を施したのがそのはじまりとされています。元々は西洋から伝わったカットガラスの技法が、江戸の職人たちによって独自に磨き上げられ、和を感じさせる紋様や意匠を緻密に表現した“江戸切子”というブランドが確立していきました。
1946年に東京・亀戸で創業した「華硝」は、江戸切子の歴史を紡ぎ続ける工房のひとつ。当初は大手硝子メーカーの下請けとして江戸切子を製作していましたが、さらなる技術革新と独自の意匠を追求するため、1990年代に直営店を立ち上げ、伝統的な手作業での製法を守りつつも、常に新しい技術や表現を追求し続けています。
華硝のこだわりは「紋様」と「磨き」。伝統的な紋様だけでなく、五穀豊穣の祈りを込めて米粒を並べたような「米つなぎ」、桜の花びらが舞い散るような「華吹雪」など、独自のデザインを生み出してきました。また、最終工程の磨きでは薬品を使わずに、一つひとつ丹念に手磨きすることで、ガラス本来の輝きと繊細な紋様の美しさが調和した作品へと仕上げています。
こうした華硝の独自の表現と丁寧なしごとに触れられる空間があるのをご存知でしょうか。
華硝が運営する江戸切子のスクール「Hanashyo’s(ハナショーズ)」では、工房で活躍する職人たちから“本物の技”を学びながら、自分の手で作品を作り上げることができます。華硝の江戸切子は国賓への贈答品に選ばれるなど、国際的にも高い評価を得ているため、通常は一般の方への工房見学は行っておりません。しかし、「Hanashyo’s」には実際の工房で使われている道具が備えられており、江戸切子の技を本格的に磨く環境が整えられています。
ぐい呑みを完成させる入門・初級コース、ぐい呑み以外の作品に挑戦する中級コース、プロの職人を養成する上級コースなど、レベルに合わせて多種多様なカリキュラムが用意されています。単なる“江戸切子の体験講座”の枠にとどまることなく、自分自身の技術がレベルアップしていく楽しさも味わえるはずです。
実りが多い季節とされる学びの秋。東京の下町で脈々と受け継がれてきた伝統の技に触れ、
細やかな紋様を丁寧に彫りながら、ご自身の感性や表現力を磨いてみてはいかがでしょう。